日の出町すぎ病院 副院長
古賀 敬介
見る(診る)場所は喉頭下部。そう、気管と食道の出発点。心臓や脳に負けるかもしれないけど劣らない、人にとってはすごい場所なのです。空気と食べ物をちゃんと区別して、空気は肺に、食べ物は食道を通じて胃に運ばれる、間違いもせずに。
しかし、脳血管障害だったり老化現象だったりで、規則正しい日々の営みにも、狂いが生じることもあります。つまり、食べ物が肺に入ってしまう事。それがむせ込みであり、誤嚥なのです。嚥下内視鏡はその起こっている状況を直に見ることができます。例えば、気道に痰や唾液が流れ込んだりとか、おかゆが流れ込んだりとか。
寝たきりになられた方のご家族は、こう願っておられます。「何とか口から食べてくれれば」と。そうです。人は口から食事を摂ることが一番なのです。
嚥下内視鏡はその摂食機能障害(むせ込み・誤嚥など)を直に見て、その方の飲み込みにどんなものが良くてどんなものが難しいか、その判断材料を与えてくれるのです。
残念ながら、ほとんどの摂食機能障害を、完全に回復させることはとても厳しい事です。
それならば、残された機能でできることはなんだろうと。
その最善の手段を見せてくれるのが、嚥下内視鏡なのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
2018年1月11日